近鉄奈良駅より北に広がるエリア 通称「きたまち」のなかに「NORR COFFEE ROASTERS」という、不定期開店のコーヒー屋さんがあります。気取らずに味わえる自家焙煎のコーヒーが大変おいしいお店です。
こちらのお店の気軽な一品に、白い袋に入ったドリップバッグがあります。お店近隣のイベントなどで、関わりのある作家さんが袋の表面にデザインを施して販売しておられます。
・・・で、「いろんな作家さんがデザインしたドリップバッグの袋を並べて展示したい」と私が言い出したことから2018年の秋に開催した展示が「30人のコーヒー展」です。
奈良のギャラリー「k3 gallery & factory」にて、30名の作家さんにご参加いただき2週間開催しました。期間中にNORR COFFEEの出張ドリップと近くのパン屋さんの販売を行い、大変賑やかな展示となりました。
・・・とは言うものの、私は「こんな展示やりたい」と言うだけ言ってさほど働いておりません。作家さんを集めたのは主にギャラリーのオーナーさん。常日頃から気になっていた作家さんに積極的に声をかけられたそうです。結果、素敵なデザインがたくさん集まりました。パン屋さんが1日出店してくださったのも出張ドリップが盛況だったのも、NORR COFFEEさんの地元での繋がりがあるからです。町でお店が親しまれているから、多くの方がイベントに来てくださったのだと思います。よそ者1人ではこうはいかないでしょう。
いくら頻繁に通っているとはいえ1年のうち8~9割は奈良から離れて暮らしているわけですから、そんな者がさして面識のないお店にいきなり出向いて「一緒に何かやりましょう」と言うのは無理があるなぁ、と。そんな過剰な勇気は持ち合わせていないし、逆の立場だったら多分私は警戒します。所謂ローカルイベントとかローカルビジネスではよそ者が持て囃されがちでしたが、町の主人公はやはり町に根付く人たちですね。
これまでに奈良への愛着を形にした作品をいろいろ作ってきましたしこれからも作っていくつもりですが、それも町に住まい、町を築く人たちがいるからできることなんだよなぁとつくづく思います。特に地図ネタで作るときに強く実感します。地図はずばり町の姿そのものなので。
奈良を題材にして制作する際には暮らしの領域に踏み込みすぎたくないし、かといって遠慮しすぎたら何も作れなくなるので、いつも塩梅が難しいな〜と思いつつ、町に生きる人たちの「暮らし」を頭の片隅に置きながら日々手を動かしています。