気まぐれに奈良ネタパロディの落書きをしております。きっかけは若草山の山焼きでした。毎年1月に奈良の若草山の山肌を焼く「山焼き」という伝統行事があるんですけど。
「あるんですけど」というのは、関東ではあまり有名ではないからです。よく京都の大文字焼きと勘違いされます(少なくとも私の周辺では)。
で、「よく勘違いされるんだよね〜マイナーだからさ(泣笑)」と、しょんぼり風味で自虐ネタにする奈良の人の話を聞いたことがありました。奈良に行き始めて間もない、6〜7年前だったかなぁ。
地元の自虐話は奈良通いの中でよく耳にします。鉄板ワードは皆様ご存知、「こんな町、何もない」。
奈良県人や奈良市民さんの地元自虐ネタに対する反応は県外・市外の奈良好きの中でも人それぞれなのでしょうが、私の場合は自分もしょんぼり風味になります。やっぱり好きな町のことを多少なりともネガティブに言われちゃうので。ましてや住んでる人たちからとなると、尚更、ねぇ。
だからと言って地元の方に正面切って力を込めて「そんなことないよ!!」とグイグイ反論する気にもなれないんですよね。
「何もない」の「何」って、たぶん人が集まる大きな商業施設やレジャースポットのような華やいだものは何もないということなんでしょうけどね。これ、ただ単に地味に感じるってだけじゃなくて、お客さんが休日にレジャーでお金を使わないとか地元で大口の職場が少ないとか切実な食い扶持界隈のあれこれをうっすら纏っているんだろうなぁ・・・、と。自虐側の人に、はっきりとした自覚はないのでしょうけど。
でも、その辺を大して理解していないくせにどこの馬の骨とも知れないよそ者の私が、分かったようなしたり顔で偉そうに町のことをあれこれ言うのは、正直とても嫌なんです。
「こんな何もない町」という声にしょんぼりしつつもそう言いたくなる気持ちや事情がいろいろあるんだろうし、う〜〜〜〜〜む。そんなジレンマ初体験が、私の場合は山焼きでした。このスパッと次の言葉を出せないモヤモヤした感情を一体どうしたものか。何か形にできる気がする・・・・・。
考えた結果、まるで調子っぱずれな勘違いの落書きに仕立てました。
「何もない」と「そんなことない」の間には思った以上に深い溝がありそうだ。ものの5分程度ですっきりできる話ではあるまい。そして5分考えてもわからないことは、はっきり言って当面わからない。その溝に長居してぬる〜くしんどい思いをするより、ちょっと離れて軽く戯けよう。
・・・という気持ちで描いたのがこの「山焼き」です。
脱力と弛緩を求める中年が起こしたバグみたいなたわ言と思っていただいて差し支えありません。大ごとではないけど地味にモヤモヤが続く話には緩いバグでガス抜きくらいがちょうどいいんじゃないでしょか。とんちんかんな戯事に、このちいさい3人はこれまたぴったりだし。
バグでも自分の心に溜まっていったことは何か形にして吐き出したい(ただし品よく)。
で、ついでによそ者の毒にも薬にもならない世迷言でも、溝を挟んでしょんぼりしたりモヤったりしている人たちの肩の力をふっと抜くことができたらラッキー。
そう思って、私は落書きをしています。